Present Treeから生まれたプロジェクト「URBAN SEED BANK」。「Present Tree from 熱海の森」を舞台に、里山保全のための資金を都市から里山へ、里山からは在来植物の緑を都市へと還流させようというプロジェクトです。いま「URBAN SEED BANK」プロジェクト内で、東京大学の学生との協働が進んでいます。
東京大学の環境問題教育プログラム「One Earth Guardians(以下OEGs)育成プログラム」を受講する学生たちが、熱海市で森林管理を担う地域のコミュニティづくりを目指そうと立ち上げた「木もれびプロデューサー」プロジェクト。この11月に、木もれびプロデューサーを目指す方向けの「講習」「演習」「研修」が行われます。まず行われたのはオンラインでの「講習」、11月11日の回に参加してまいりましたので、レポートいたします!
木もれびプロデューサーとは?
熱海市の地域住民や地域外市民からなる森林管理を担うコミュニティ。「熱海の森協議会」がサポートし、森林の管理方法を学びます。以下のスケジュールで、講習・演習・研修が開催されます。これから開催される演習・研修については、まだ申し込みが可能です!
日程 | 内容 | 場所 | 申し込み |
11月5日(日)または11日(土) 10時~11時もしくは18時~19時 ※いずれか1回ご参加ください | 【講習】 ・日本の森林の基本情報を知る ・PT熱海の森(※2)の現状を知り、どのような森づくりをしていきたいか考える ・森林の多面的機能を学ぶ | オンライン | ー |
11月18日(土) | 【演習】 ・製材所から出た端材を使って、机や椅子、土砂受け箱などを作成 ・作成したものは、後日、PT熱海の森に設置 | 未来創造スクエア… 静岡県熱海市渚町10-9 | 演習フォーム |
11月23日(木祝) | 【研修】 ・伐木体験とどんぐり拾い ・斜面に階段を作る ・土砂受け箱の設置 | PT熱海の森… 熱海市下多賀弁慶嵐1578、1580-1 | 研修フォーム |
演習・研修は、熱海市にある「Present Tree in 熱海の森」が舞台。今回行われたオンラインでの講習は、全4回・15名が受講されたそうです。実際に森に入る前に知っておくべき森の基礎知識を、OEGsを受講する学生たちが教えてくれました。
講習の内容は…
私が参加したのは、11月11日18時の回。5名の参加者の皆さんとともに、画面に向かいます。司会進行を務めるのは、OEGsの鳥井さん。今回の木もれびプロデューサー事業の背景、熱海の森の現状、そして事業の目的などが語られました。
続いて、OEGsの内藤さんのレクチャーです。内藤さんは、ボランティアで子どもたちに樹の名前をレクチャーしたり、小学校で環境教育に携わったりされているのだそうです!
印象的だったのは内藤さんから出されたクイズ。「日本の木材自給率は、何%でしょうか?」…みなさん、わかりますか?
なんと41.8%。日本は森林率が約7割の森林国なのに、これは低すぎる…と思ってしまいますよね。ただ、これでも徐々に自給率は上がっており、2000年初頭は20%を切っていたというから驚きです。
この50年で森林面積には変化がないが、森林蓄積量は安定指定増加しているというデータも提示されました。「つまり、現状では森林資源が混みあっており、どう木材を使っていくかということが大切なんです」と内藤さん。
また、連日ニュースでも取り上げられているクマの被害についても触れられました。人が出入りせず手入れのされない荒れた森や田んぼが増えたことで、野生動物の生息域と人間の居住地の境界が曖昧になってしまっているのが一因です。人間のすぐ近くにある「里山林」こそ、人が手を入れてしっかりと管理をしていくことが必要なのです。
参加者全員で意見交換も行いました
後半は参加者みんなでお話。これまでに印象的だった森林の話や木材の思い出話では、参加者それぞれの思いやバックボーンが垣間見えて、とても面白かったです。里山林をどう利用したらいいかのアイディア出しでは、「薪割りや炭づくりをしたい」「木の上に小屋を作りたい」「きれいなお手洗いがあると行きやすい」「安全をしっかり確保してほしい」といった、ワクワクする意見から現実的な意見までが出てきました。
あっという間の1時間。最後に参加者さんの感想を伺うと、「学校の先生に薦めてもらって参加しました。面白かった、聞けて良かったです」「大変だけれども向き合わなければならない課題ですね。自分も何ができるか考えたいと思いました」と、前向きな意見が聞かれました。
「熱海市には樹を切る専門家がおらず、製材所もないのが現状です」と司会の鳥井さん。「地域の人が、趣味レベルでも森林に興味を持って森づくりに参加して、ゆくゆく周りの人へ伝えていくような流れができたらいい。この『木もれびプロデューサー』の取り組みで、その流れを創ることができたらと考えています」
「木もれびプロデューサー」、演習・研修への参加はまだ間に合います!
満を持してスタートを切った「木もれびプロデューサー」。 OEGsを受講する東大生たちの熱い想いが、森の現状を変える一助になる、そんな予感をひしひしと感じました…! 次回11月18日(土)の「演習」、23日の「研修」も参加しますので、またレポートいたします。「私もやってみたい!」と思った方、まだお申込みは間に合いますのでぜひお待ちしております(11月18日申し込みはこちら・23日申し込みはこちら)! 熱海までの交通費は実費ですが、受講は無料ですよ~♪
※「木もれびプロデューサー」は令和5年度の林野庁補助事業として採択され、「国民参加による植樹等の推進対策」サポート体制構築事業の一環として行われているプロジェクトです。